「ジハンキーのひみつ」2回目の検証授業 千葉県白井市立清水口小学校

2022-12-12

ジハンキー授業

K3Tunnelでは初めてとなる小学校低学年向けの教材「ジハンキーのひみつ」を使った検証授業(45分2コマ)2回目の様子です。 夏休み直前の1回目検証授業の様子はこちら。2回目も、教材の開発者自身が教壇に立っての実践です。

2回目の検証授業にご協力いただいたのは、白井市立清水口小学校2年生のみなさんです。2022/10/5に2年生2クラスで実施させていただきました。 1回目と比べると、各段にスムーズに授業が進行しました。1回目からの変更点を中心にご紹介します。

授業の流れ

1時間めの流れは同じですが、2時間目は少し変更しました。取り消し線で表しています。

1時間目

  1. 導入
  2. プログラムって?
  3. アンプラグドプログラミングの練習(ペアワーク)
  4. おつり計算の確認
  5. おつり計算のアンプラグドプログラミング(ペアワーク)

2時間目

  1. タブレットでK3Tunnelのプログラミング画面を開く(以後、ペアワーク)
  2. 操作練習 ブロックを出して動かしてみるところのみ、全員で確認
  3. ブロックと「指令」の関係を確認 指令書、動画を参照しながらプログラミングするように提示
  4. おつり計算のプログラミング

変えてみたこと

冊子の大きさ

この授業では、「ジハンキーへの指令書(画像左)」と「ワークシート(画像右)」をふたつの冊子にわけて印刷して配布します。指令役とジハンキー役にわかれてのペアワークとなるアンプラグドプログラミングの場面では、両方の冊子を行ったり来たりします。
※検証授業で使ったモノはこちら⇒指令書ワークシート

jihankey 03 01

  • 指令役:「ジハンキーへの指令書」を読み上げる
  • ジハンキー役:「ワークシート」にある「ジハンキーあたまの中」のメモに書き込んだり、書いてある内容を読み上げたりする

という風に進んでいきます。

1回目の授業では、両方ともA4冊子にして配布したのですが、どちらを使う場面なのか把握しきれない子が続出しました。そこで、2回目では、指令書をA5冊子に変更しました。 その結果「大きいほう」「小さいほう」と区別することができるようになり「どっち?」となる場面は、ほとんど見られませんでした。

「おつり計算の指令」は確認だけにする

1回目の検証授業では「おつり計算の指令」を虫食い状態で提示して、子どもたちに穴埋めをしてもらうようにしていました。 しかし、これは、限られた時間内では、難しいことがよくわかったので、ごく一部分を全員一緒にうめていくカタチにし、あとは、アニメーションで確認するようにしました。

このことにより「わからない」感はだいぶ解消されました。さらに、実施後、アニメーションを途中で止めながら、子どもたちにジハンキー役を一緒にやってもらうとよさそう、というアイデアが生まれ、次回への改善へとつながりました。

プログラミング作業は「みほん」を用意する

1回目の授業で「みほん画面」と「作業画面」を行ったり来たりは難しそうであったこと、操作説明を一斉にしても効果が薄かったことなどから、「みほん動画」を用意することにしました。画面下部のボタンから、おつり計算の指令ひとつに対応するブロック操作ごとに「みほん動画」を参照できるようにしました。

みほん

これは、効果テキメンで、子どもたちの「どうやるかわからない」ストレスは、ほぼ解消されているように感じました。

操作上のストレス軽減だけでなく、指令書の番号と動画の番号を紐づけたことで「指令書をみながらプログラミング」することが可能になり、前半のアンプラグドプログラミングと、後半のプログラミングのつながりが、見えやすくなりました。

「数字を変えれば簡単に計算できるようになるね」の場面を設定する

1回目の検証授業でイマイチだった、できあがったプログラムをつかって、いろいろな計算をしてみよう♪ということで最後のワークです。

1回目は、こちらの表を用意していました。

いろいろな数字で

2回目は、こちらに変更して、具体的な場面を想像しやすくしました。

ジハンキーに入れるお金を変える

プログラミングが早く終わったペアには、先行して考えてもらいつつ、残り時間15分くらいのところでいったん作業時間終了。全員で「みほん」を使って、数字を変えてプログラム実行する取組をしました。

「プログラムのどこを変えればいいと思う?」という発問をすると、児童から「うけとったお金を変えればいい!」と声があがり、1回目よりも格段に理解度が上がっていることが感じられました。 ワークシートとしては、自動販売機に投入する金額を変更するケースのみを用意しましたが、授業では「ジュースが150円だったらどうする?」といった取組まで行くことができました。

こどもたちのコメント

子どもたちがアンケートに書いてくれたコメントを紹介します。(一部、漢字に変換しています)
「大きくした方がいいよ」というご意見は、反映させていただきたいと思います。

1クラス目のこどもたち

  • とても楽しかったので、また教えてほしいので、こんどまた2年1組に来てください。
  • プログラミングはいろいろむずかしかったけど楽しかったです。
  • 先生たちが優しくてよかった。
  • プログラミングが好きになりました。
  • 難しいけど、協力しあっても無理だったから、また今度頑張りたいです。
  • 字をもっと大きくしてほしい。ちがうものを押しちゃうから太くした方がいい。
  • バーが大きくて、字が大きくなってほしいです。

2クラス目のこどもたち

  • プログラミングができてとても楽しかったです。ちゃんとプログラムが出来てよかったです。
  • プログラミングを動かしたり考えるのが楽しかったです。
  • わかりやすくて楽しかった。またやりたいです。
  • お金のお返しがよくわかった。
  • 町にプログラムがあるのが分かりました。
  • 知らない先生に会えて嬉しかった。

監修者の立場として

開発初期からディスカッションを重ね当日もフォローにはいってくださったNPO法人 企業教育研究会の古谷氏より、ふりかえりコメントをいただきました。


低学年からプログラミングをする必要が無いのではという意見があります。確かに低学年のプログラミング体験が必須かというとそうではないでしょう。しかし、低学年のうちに、アンプラグドの体験や実際にプログラミングする体験をしておけば、例えば、学習指導要領で例示されている5年算数の正多角形をパソコンでプログラミングして描く学習を行う際も違和感なくスムーズに学びに入ることが期待できます。

2025年以降大学共通テストの教科に「情報」が加わることになりました。過日、大学入試センターから「情報」に関する試作問題が提示されました。この「情報」の問題の中に、買い物の支払時に使う硬貨の枚数を最少にするプログラムを考えさせる問題が掲載されています。まるで、小学校低学年の「ジハンキーのひみつ」からつながっているかのようです。 プログラミング教育を進めていく上で、プログラミングする体験を低学年のうちから丁寧に積み重ねていくことで、上の学年になったときにプログラムを組むことの意味やよさをより実感できるものと考えます。

学校では、P(計画)D(実行)C(分析)A(改善)というPDCAサイクルを推進し、教育活動を改善していくことが求められています。 2回目の清水口小学校の授業では、1回目の船橋小学校の授業での改善点がかなり修正されました。2クラスのどちらもスムーズに授業が進行し、教材の修正がとても良い方向に向かっていることを私も実感しました。この2回のブログを続けて読んでいくと、まさしくPDCAサイクルが迅速に、そして、的確に行われ、それが着実に成果を上げていることがわかります。 ますますこの授業がよりよいものへと発展していくことを期待しています。


そして改善は続く

2回目の検証授業は、全体としての流れがスムーズに進行することができました。その結果、1回目よりも、ぐっと細かく具体的な改善点が浮き彫りになりました。 以下、検証校の先生方からいただいたご意見も含めてご紹介します。

  • 練習用指令でメモの名前として「あいう」「かきく」を使っているが、より簡潔に「A」「B」などにしたほうが、認知負荷が小さくなる。
  • 指令書のサイズを小さくしたことで、わかち書きの間が狭くなってしまって、読みにくくなっているようだった。
  • 指令役とジハンキー役のロールプレイの説明時に、大人同士でやってみせる、子どもたち全員にジハンキー役をやってもらうという方法を試したが、出だしでつまずくペアが多かった。やり始めればできるので説明の仕方に工夫が必要。「指令役をやる子全員で司令を読み上げる」⇒「ジハンキー役をやる子は指令にしたがう」というのをやるのがよいのではないか。
  • おつり計算を確認するワークは、プログラミングで出てくる順番、言葉にあわせることで見通しがよくなりそう。
  • 「10いくつぶん」は「10がいくつぶん」のほうがよい
  • おつり計算の指令をアニメーションで確認する場面では、子どもたちにジハンキー役をやってもらうとよさそう。
  • 画面に出すブロックに対応する指令書として「教えて!」を使っているが、ここが紐づけにくい。「教えて」ではなく「声に出して」のほうがよいのではないか。

順次対応してコンテンツを正式公開し、広く使っていただけるようにしていく予定です。今後はリクエストに応じて、当社社員による出張授業をさせていただくとともに、先生方による授業実践支援も研修会などのカタチで支援させていただければと考えております。

※「ジハンキーのひみつ」はこちら。本ミッションは、成長途中のコンテンツのため、本記事で紹介している開発初期のものとは、一部内容が異なります。