進化し続けるクラウド技術 VS 学びを止めないエンジニアたち

2024-03-27

インタビュー

K3Tunnelでは、小中学生向けのシステムエンジニア体験講座を数多く実施していますが、当社のおしごとの魅力は、もっとたくさんあります。そこで本ブログでは、少し難しいトピックにもふれながら、少しずつ紹介していきたいと思います。今回は、とある社内イベントで「かもっちレンタル」という会社が登場したというウワサを聞きつけ、その取り組みを含むNSSOLの技術力強化についてインタビューすることにしました。

以下、登場人物は以下の通りです。

インタビューされる人
髙橋さん(技術本部)

インタビューする人
今野(K3Tunnelの中のヒト。これを書いているヒト)

まずは自己紹介から

今野:髙橋さん、こんにちは。今日はお時間をいただき、ありがとうございます。まずは、自己紹介をお願いします。

髙橋:こんにちは。技術本部の髙橋 洋樹です。

takahashi hiroki

私は、会社全体の開発技術力の強化を目ざす組織に所属していて、開発技術力の中でも、パブリッククラウドを中心に取り組んでいます。たとえば、社員がパブリッククラウドを利用しやすくしたり、パブリッククラウドを高度に使いこなせる技術者を育てる活動をしたり、ガイドラインをつくったりしています。

パブリッククラウドとは

今野:ありがとうございます。髙橋さんが担当されているパブリッククラウドについて簡単に教えていただけますか?

髙橋:パブリッククラウドというのは、インターネットを通じて、CPUやメモリーなどコンピューターの力を借りることができるサービスのことです。必要な時に、すぐに借りて使い始めることができるので、機械の管理の手間がかからずとても便利です。使った分だけお金を払えばよいので、無駄もありません。具体的なサービスとしては、たとえば、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなどがあります。

今野:なるほど。ありがとうございます。NSSOLが提供しているAWS活用サービスについてこちらのページにも詳しく紹介されていますが、髙橋さんは、AWS認定資格を全て保持しているAWSエンジニアとして紹介されていますね。
「AWS認定資格をすべて保持している」ということですが、AWS認定資格は、12種類もあるんですね。12種類全部取得するのは大変そうですが、どれくらいの期間で取得したのでしょうか?

髙橋:4つはかなり前に取得していたんですが、8つは2022年度後半の半年くらいで集中して取得しました。

今野:半年で8つというと月に1つ以上のスピードですね。全部取得しようと思ったきっかけなどありますか?

髙橋:直接のきっかけとなったのは、同僚の中ですべての資格を取得した人が現れたことです。その姿を見て「すごいな」と感じたと同時に、自分も続かなければという強い使命感に駆られました。以前から、AWSのアップデート内容を理解できるようになりたいと思いながら、なかなか行動に移せていなかったのもあり、いいきっかけになりました。

今野:AWSのアップデート内容を理解できるようになりたい。というのはどういうことですか?

髙橋:AWSって、ものすごい数のアップデートがあって、その数は1年で1000をこえます。大きめのアップデートはSNSでも話題になるんですけど、AWSが提供するサービスは幅広いので、分野によっては、何が嬉しいのか全く分からないみたいなことがあって、もどかしかったんです。なので、アップデートがわかるくらいの基礎的な知識は広い範囲で身につけておきたいという感覚がずっとありました。最新を追いかけるためのスタートラインに立ちたいというイメージです。

AWSを学ぶ

今野:必要な知識が広範囲におよぶ上に、どんどん変化していくということですね。エンジニアひとりひとりがエキスパートであり続けるのも大変そうですし、会社全体で技術力を担保するのも簡単ではなさそうです。たとえば、どのような取り組みをしているのですか?

髙橋:楽しみながら学び続けることが大事だと思っていて、たとえばAWSに関するGameDayイベントを社内で開催したりしています。

今野:GameDayというと、名前からして楽しそうですが、どんなことをやるのでしょうか?

髙橋:GameDayとは、AWSのサービスを使って、実際に問題を解決するゲームのようなイベントです。問題ごとに点数が設定されていて、チームごとの総得点を競います。たとえば、サーバーが落ちたときに、どうすればいいかを考えて、実際に対応するといったことをやります。社内のイベントでは「かもっちレンタル」という架空の会社に入社したという設定にしました。

gameday01

と、歓迎しつつ、こういう展開です。

gameday02

今野:失踪!!!ひどいですね。
髙橋:失踪してしまったので、自分たちでどうにかするしかないという状況ですね笑

今野:具体的には、どのような問題に挑戦したのでしょう?
髙橋:たとえば、失踪したエンジニアが社内のシステムを全部初期化するプログラムを起動してしまっていて、3時間以内にパスワードを突き止めないといけない。といった問題です。 gameday03

今野:な、なるほど・・・。かわいい設定とは裏腹に、かなりシリアスな問題ですね。参加者のみなさんは、どのように取り組んだのでしょう?
髙橋:1チーム4人で、作業用のパソコンは2台とし、作業は、すべてペアでやるルールとしました。
今野:いわゆるペアプロのような形ですね。

gameday04

髙橋:そうですね。作業する人にうまく伝わるように説明しないといけないので、参加者のみなさんは、コミュニケーション力やチームワークの大切さも体感できていたようでした。

今野:参加者の反応はいかがでしたか?

髙橋:アンケートでは、満足度は4.5/5.0となっており、満足度の高いイベントになりました。チーム内のコミュニケーションも含めて、楽しめたという声が多く、初級レベルの参加者は「これまでは試験対策が中心で実践経験が少なかったので、いい経験になった」「もっと実際に触らないといけないと思った」という感想を持つ人が多かったようです。すでに仕事で活用している参加者からも「普段使っているサービスでも、理解が深まった」といった感想が寄せられ、やってよかったなと思える結果になりました。他のパブリッククラウドでもやってほしい、難易度が少し高すぎるのではといった意見もあったので、改善しながら継続していきたいと思っています。

日常的に取り組んでいること

今野:イベントも楽しそうですが、日常的には、どのようなことをしているのですか?
髙橋:社内向けのハンズオンを開催してます。2023年度は16回開催して、のべ400人くらいが参加しました。社員がふらっとパブリッククラウドを体験できる機会を提供しようという想いでやっていて、事前準備なしで参加できるようにしています。

今野:どのような内容なのでしょうか?
髙橋:パブリッククラウドを触ったことがない人を対象にした初級者編と、クラウドネイティブと呼ばれる技術(コンテナやサーバレス、IaCなど)を扱う中級者編の2種類を実施しています。指定した期間内で録画をみて自分でやるセルフスタイルと、特定の日時にあつまってやる集合型スタイルの両方で提供していますが、集合スタイルのほうが満足度が高いです。

今野:ハンズオンを体験した参加者の反応はいかがですか?
髙橋:アンケートで「どれくらい他の人に薦めたいか」を聞いているのですが、5段階中4くらいになることが多く、実際に、以前参加された方のご紹介で申し込んだという方も多いです。また、初級者編から中級者編に参加される方も半分くらいいらっしゃいますし、社内の技術コミュニティの活動に入っていくきっかけにもなっているようです。また、弊社ではクラウドの資格を取得すると報奨金が出るのもあり、ハンズオンをきっかけに資格取得を目指す方もいます。

楽しく広めていく

今野:髙橋さんのお話を聞いていると、ご自身のスキルアップもさることながら「みんなの技術力をあげよう」「ザ・お勉強ではなく、みんなで楽しく」という想いが伝わってきますが、そのあたりを少し詳しく、お話しいただけませんか?

髙橋:今の部署に異動する前は、社内でも、いち早く新しい技術をお客様に提供する部署にいて、クラウド技術も早くから扱っていました。その頃からクラウド仲間を増やしたいという想いがあったのですが、3年ほど前に現在の部署に異動してからは、組織のミッションとして育成に取り組めるようになったので、大手をふってやりたいことができています。

今野:なるほど。部署のミッションとして、取り組めるようになったということですね。「楽しく」がキーワードになっているように感じますが、そのあたりの想いはどこから来ているのでしょうか?
髙橋:クラウドと一言で言ってもセキュリティや機械学習、データ分析など範囲がとっても広いんです。そして、アップデートもとても頻繁です。過去に良いとされた構成が推奨されなくなるようなことがしばしばある世界なんですね。それを一人でカバーするのは到底無理です。特に初心者は何から学べばいいかわからなくて本当に大変です。 じゃあどうすれば?と考えると、コミュニティによるゆるいつながりの形成、機会の提供が大事だと思っています。

今野:なるほど。コミュニティが大事なんですね。
髙橋:はい。分からないことが出たとしても周りに聞ける人がいれば怖くないですし、誰か知っている人が頑張っていれば、自分も頑張ってみようかなという気になります。他企業を見ていても、コミュニティの形成がうまくいっている企業はやっぱり層が厚いです。社内のコミュニティから社外のコミュニティに飛び出して、社外のノウハウや価値観を社内に持ち帰ってきて、社内のレベルがあがり、また社外へ飛び出し・・・といったことが自然な状態になるといいなと思っています。

今野:素敵ですね!今後の抱負をぜひ!
髙橋:クラウドは日々進化を続けており、新しいサービスや機能が次々と登場しています。これからも様々な機会を提供することでクラウド人材の育成につなげていきたいです。

今野:ありがとうございました!

※ 当社のクラウド活用サービスについてもっと知りたい方は、こちらをご覧ください。


今野 奈穂子
K3Tunnelの中のヒト。つくるのが好き。100回以上の出張授業講師を経験。