K3Tunnelでは、小中学生向けのシステムエンジニア体験講座を数多く実施していますが、当社のおしごとの魅力は、もっとたくさんあります。そこで本ブログでは、少し難しいトピックにもふれながら、少しずつ紹介していきたいと思います。
まずは、手近なところからということで、これを書いている今野が所属しているシステム研究開発センター アーキテクチャ&プロセスデザイン研究部の研究員の日々の活動について紹介します。大きくて複雑なシステムをつくる時、プログラミングしたりツールを使いこなすだけではない「エンジニアリング」が必要になってきます。そのあたりを中心に「プロジェクトマネジメント支援(以下、プロマネ支援)」と「社内情報流通(以下、情報流通)」をテーマに研究されているおふたりの活動をインタビュー形式でお届けします。
ちょうど、研究部内で「Meta Horizon Workroomsを日常的に使ってみよう」という取組が始まったタイミングだったので、VR空間でインタビューを行いました。
以下、登場人物は以下の通りです。
インタビューされる人
坂井 麻里恵さん(サステナブルプロセスグループ)
林 孝紀さん(サステナブルアーキテクチャグループ)
インタビューする人
今野(K3Tunnelの中のヒト。これを書いているヒト)
まずは自己紹介から
今野:おふたりともインタビューへの協力ありがとうございます。このインタビュー記事は「将来ITエンジニアになりたいと思っている中学生も読むかもしれない」という前提を置きつつ、非情報系の大学生にお話しするくらいのレベル感でお願いします。まずは、坂井さんからお願いします。
坂井:新卒で当社に入社してから、ずっと研究開発をしていて10年くらい経ちました。領域としては「ソフトウェア工学」と呼ばれる分野で「たくさんの人で、うまく仕事をするにはどうしたらいいか」というところに主軸を置いて活動しています。今は「プロジェクト内の情報をうまく共有する仕組みをつくってプロジェクト管理をラクにできないか」をメインのテーマとして研究開発しています。「中学生にもわかるように」というのはハードルが高いですがよろしくお願いします。
今野:つづいて林さんお願いします。
林:私も新卒で研究員として当社に入社して、今5年目になります。現在は「社内で情報共有をうまくやるにはどうしたらいいか」をテーマに、いろいろな調査検証をすすめています。それとは別に、社内の開発プラットフォームの整備などにも携わっていて、その中で、社内の開発者が、具体的にどういうふうに開発しているのか、どういう課題感を持っているのかを感じ取り、研究にも活かしています。
今野:ありがとうございます。
研究員ってどんな仕事をしているの?
今野:ふたりとも入社以来ずっと研究員とのことですが、論文を書いたり、学会で発表したりするんですか?
林:いいえ。当社の研究員は、そういう活動は、ほとんどしていなくて5年後10年後を見据えて研究をすすめ、現場に適用できるカタチでアウトプットすることを目標に活動しています。たとえば、開発ツールの形にまとめたり、ガイドブックみたいなものをつくったり、研修メニューをつくって社内でつかえる人が増えるようにしたり、といったことをしています。また個人ですすめるのではなく、数名のチームでひとつのテーマに取り組むことが多いです。
プロジェクトの情報を共有する
今野:そうなんですね。ふたりの研究テーマで共通する「情報共有」を切り口に、お話を聞いていこうかなと思いますが、どんな情報を、なぜ共有するんでしたっけ?というあたりからお願いします。
坂井:「いついつまでに、これこれをやろう」という取り組みを「プロジェクト」と呼ぶのですが、その「プロジェクトが今どのような状況にあるか」を関係者全員がうまく共有できるようにすることを考えています。 システム開発のプロジェクトは、複数のチームにわかれることが多いのですが、チームごとに、リーダーとメンバーがいて、さらに複数のチームをとりまとめていくプロジェクトマネージャー(以下、プロマネ)が存在します。プロマネは、プロジェクトがうまくいくように、プロジェクトの中をまとめるだけでなく、お客様や社内の偉い人などにプロジェクトの外に向けて、報告したり調整したりする役割も担っています。
プロジェクトが進んでいくと、チームごと、メンバーごとに状況がイロイロになっていきます。全体的には、うまくいっていても、一部のひとはとても大変な思いをしているかもしれませんし、その逆もあると思います。そうした状況を、プロマネは、的確に把握しないといけません。理想は、プロジェクトに関わる全員が、いつでもプロジェクト全体の状況を把握できていることです。
坂井:そうですね。プロジェクトの状況を把握するって、できてあたりまえに感じるかもしれませんが、大きいプロジェクトでは、何十人ものひとがかかわるので「全員が同じ情報を共有する」というのは、とても難しいのです。また、プロジェクトというのは、問題が発生するのが普通なのですが、早期に問題を発見し対応できれば、大きな問題にならないかもしれません。なので、特にプロマネは、正確な情報を広範囲にタイムリーに把握しなければいけません。これが、昔から大変なんです。大変なので、まずはここをターゲットに進めていこうとしています。
今野:具体的には、どういう情報を共有するんですか?
坂井:プロジェクトがどれくらい進んでいるかという情報とか、問題が発生しているかどうかの情報です。たとえば、チームでプロジェクトを進めるときには、やることを細かくわけて「これを、だれが、いつまでにやるか」を決めた「チケット」を使って対応状況を記録していくことが多いのですが、この「チケット」の量が多くなると、そのままでは、全体が見えにくくなります。「プロジェクトがうまくすすんでいるか」を把握できるように、データの見せ方を工夫したりしています。
今野:チケットの量が多くなると、全体が見えにくくなるというのは、なんとなく想像できますね…。こんな感じでしょうか…。
今野:例えばどんな見せ方の工夫をしているんですか?
坂井:全体の傾向をグラフなどでわかりやすく表示しながら、問題点の発見をサポートするようにしています。プロジェクトを成功させるためには、問題を早くみつけて、早く対応するのがとても大切なんですが、だからといって「予定より遅れているチケット」や「担当者ごとの課題数」ばかり目立せたりすると、犯人捜しになってしまったり、メンバーにとって居心地が悪くなる可能性もあるので、そのあたりのバランスも重要です。
今野:チケット以外には、どんな情報があるんですか?
坂井:チケットの情報は、人が入力する情報なのですが、それ以外に、ファイルを保存した回数や、ドキュメントの数なども状況把握に役に立つので、うまく見えるようにしようとしています。いずれにしても、プロジェクトを進めていくうえで自然と発生する情報を集めて、全体の状況を関係者全員がリアルタイムに把握できるようにすることでプロジェクトをうまく進められるようにするのが目標です。
リアルタイムに社内の情報を共有する
林:リアルタイム性は私たちも大切にしています。私たちは、社員が持っている知識やノウハウを、社内で広く活用できるようにすることを目指しているのですが、たとえば、だれかがまとめた「マニュアルっぽいメモ」が実は5年前のもので、落とし穴があった・・・みたいなことが起こりがちなので、タイムリーに、そのときの最新情報を見れるようにしたいですね。
今野:なるほど。「ニセのマニュアル」に惑わされた経験は、誰もが一度はしていそうですね。
林:はい。なので、常に最新の情報を見つけられるようにするというのはとても大切です。あっちのチームとこっちのチームで、ほぼ同時期に、同じ課題に取り組んでました。ということを防いでいくためにもタイムリーな情報共有は必要だと思っています。
今野:みんなに共有するために、まとめ資料をマメにつくろう。という話なんでしょうか?
林:共有するためにまとめるのも大事なのですが、まずは「すでにあるものをみつけられるようにする」のが最初の一歩だと思っています。
今野:簡単そうに聞こえますが「あるはずのものが見つからない」って、あるあるすぎて、関連する「かもっちイラスト」がたくさんありますね。
林:こういうのは、ITエンジニアあるあるで、日常的にすごすチームや組織内でも起こりがちな問題です。私たちは、それに加えて、チーム間、組織間での情報共有も必要だと思っています。こっちのチームで課題検討をはじめたときに、あっちのチームが、すでに似たような課題に取り組んでいたことを知っていて、資料も共有してもらえれば、だいぶラクになるはずです。そういうことができるようにするのが、まずは大事だと思っています。
今野:「同じことを、違うところで、同時に検討しちゃってた」もまたあるあるですね。
林:単純に色々なコミュニケーションが部署内で完結しがちであるというのもありますし、企業内でのノウハウ共有独特の難しさとして、「機密情報」をどうするかというのもあります。ヒミツにすることを前提にお客様から情報共有していただいたりもするので、ヒミツを守ることは大前提なのです。かといって全部ヒミツではないし、他部署にも共有できる情報も大量にあるんだけど、ヒミツの情報が紛れ込んだりしていると問題になるので「全部共有しない」みたいな選択をしてしまいがちなんですよね。必要な情報は共有できるようにする必要があります。
今野:さきほど、坂井さんから「データの見せ方」の工夫について話がありましたが、情報流通のほうでも「見せ方」って大事なんでしょうか?
林:「見せ方」は大事だと思っていて「生のデータ」をそのまま共有すればいいわけじゃないというのは、同じだなあと思って話を聞いていました。ただ、私たちの場合は、どういうビジュアルにするか、というよりも、必要としているときに、さっと見える場所に出すとか、ボリュームのある情報は、要約したものをまずは表示するようにするとか、信頼できる情報なのかそうでないかを判断できるようにするとか。そういう「見せ方」ですね。
同じ情報共有だけど・・・
今野:なるほど。ふたりの共通のキーワードは「情報共有」なんだけど、対象がだいぶ違いますね?
坂井:そうですね。私たちは「プロマネ支援」に主眼を置いているので、情報共有といっても「プロジェクト関係者の中で」を想定していますし「プロジェクト関係者はプロジェクトを成功させるためにプロジェクトの状況を把握したいと思っている」という前提にたっています。林さんの方は「流通」というテーマ名が表す通り、情報が流通していきますし、その情報の使い方も限定されないですよね?
林:そうですね。すべての社員が、あらゆる情報を共有できることを目指しています。あと、情報を出す側にとっても、気持ちよく使えるようにとか、そもそも「情報を生み出す」ところから研究対象としているところも違いそうですね。暗黙知といわれる「言葉になっていない知識」も、例えば動画をテキスト化するとかして、流通しやすくするようなことも考えています。
坂井:たしかに、私たちは情報を生み出すにはどうしたらいいかという問いの立て方はしていなくて、人間がうまく行動するために、プロジェクトで自然に発生する情報を、どう使っていけばいいか。ということを考えています。たとえば、締切をすぎたチケットがたくさん残っていれば、誰の目にも遅れていることがあきらかなのですが、実際に遅れ始める前に、他のデータを使って、遅れの兆候に気づけないだろうか。とか。
林:情報流通の場合は、共有した情報をうけとった人がどう使うかのところは、深掘りせず、まず流通させるところに注力しているので情報のとらえ方が違いそうです。
坂井:対象とする「情報」も少し性格が違いますね。私たちが対象にしているのは、数値データになっているものがほとんどですが、林さんは、どちらかというと「知識」ですね。
林:そうですね。一般的には「ナレッジ・シェアリング(知識共有)」とも呼ばれることが多い分野です。知識共有とか、情報共有というと、資料をみんなが見えるようにするであるとか、お知らせが全員に届くようにするというのをイメージしますが、それに加えて暗黙知をどう共有していくかも考えなければいけないんです。
今野:暗黙知って、さっきも少しでてきた「言葉になっていない知識」ですよね?暗黙知については、どういう風に考えているのですか?
林:説明資料などのいわゆる「形式知」になっていれば、その情報をほかのヒトも利用できるようになりますが、暗黙知は、人の中にしかありません。たとえ資料になっていても、表現しきれない知識はどうしても残ります。人と人がつながることで、暗黙知も伝わるし、形式知も価値が高まるだろう。というのが、私たちの考え方です。なので、私たちのチームでは、キャッチコピーを「つながる!ひろがる!見つかる!人と知識」としています。
今野:なるほど。対象としている情報が違うと、利用する技術などにも違いがあるんでしょうか?
坂井:技術としてはいわゆるBIツール(データをビジュアル化するツール)を使っています。
林:私たちのチームは、まずはMicrosoft 365を使い倒すことを考えていて、新機能などをいち早く試し、社内での有効な使いかたを考えるというようなこともしています。
今野:扱う内容の違いが、利用するツールの違いにも表れてますね。逆に共通して使っている技術とかありますか?
坂井:数値データになっているものだけではなく、設計書などのドキュメント類、チケットや日報などに書かれたコメントをあつかうことも考えていて、自然言語処理の活用も考えているのですが、ここは、林さんのチームとも共通するので、合同で、LLM(大規模言語モデル)を中心とした生成AIの活用方法について勉強会を開いたりしています。
まずは自社で試す
林:そうですね。私たちのテーマでは「検索」だとか、生の情報を「まとめて表示する」とかポイントになってくるのでLLM(大規模言語モデル)には注目しています。あと技術の話ではないですが、テーマの共通点としては「まずは当社が適用対象」というところは同じですね。
坂井:そうですね。私たちは、実際に当社の事業部のプロジェクトで使ってもらいながら、改善を進めています。
林:私たちの場合は、まずは狭い範囲で実験的に取り組んで、それを広げていく感じですね。
今野:まずは自社で試すのであれば、実際にやってみる場所は見つけやすいということでしょうか?
林:それが、そうでもないですね…
坂井:そうでもないですね…
今野:そうでもないですか…
林:当社に限らず、ある程度規模の大きい企業は、みな同じだと思いますが、色々なサービスを試しに使ってみるだけでも色々ルールがあって、ひとつひとつクリアしていくのが地味に大変なんです…。それにITツールを入れればいいだけではなく、組織文化の側面も大きくて、そちらからのアプローチも必要です。
今野:組織文化の側面というと?
林:たとえば、いろいろ検討して、こうしようと決めたものでも、結果のみを資料にして他のメンバーに共有すると、文脈がわからないので、なぜその結果になったかわからないこともあります。それに対する解決策として、検討段階からメンバーに共有することにしたとします。ところが、組織の文化によっては「未決事項を共有するな!」と怒られてしまったりするんです。こういったことは「良いことなのでみんなやろう」という雰囲気がないとできないですし、未確定の情報をあつかうのも、ひとつのスキルですので、メンバーがそのスキルをもっている必要もあります。そういうものがないところに、ただITツールを使いましょうというだけではだめで、組織の文化を変えたり、組織文化に合わせた使い方を考える必要もでてきます。このあたりをどう進めていくかとても悩ましいです。ただ、これも「ノウハウ」のひとつだと思っていて、ツールの使い方にとどまらない「企業への導入ノウハウ」としてソリューション化(他社に販売する)ことも考えています。
今野:坂井さんは、自社で試すにあたって、どのあたりに苦労されているのでしょうか?
坂井:私の場合は、まず「協力してくれるプロジェクト」を探すのが大変でした。研究としては、少し先の未来を見据えて「こんな素敵な世界」を思い描きながら、その実現のための第一歩は何だろう?と考えてツールなどを開発して、それを実際に使ってもらって効果を検証するということをしています。ところが「こんな素敵な世界」には、みなさん同意してくださるのだけど、第一歩として「今はこれだけ」となると、忙しい中「わざわざ使ってみる」までには至らないんです。「今はこれだけ」の中にも、現場にとってのうれしさを入れていかないといけないのですが、何をいれたらうれしいのか、そういうところが、なかなか見えなくて、最初は本当に苦労しました。数年の試行錯誤を経て、最近やっと、協力してくれるプロジェクトが増えてきたので、うれしいです。
今野:「今はこれだけ」の中にいれこんだ現場のうれしさって、たとえばどんなのですか?
坂井:短期的には「報告のためのデータづくり」をしなくてよくなることです。プロマネは、お客様向け、メンバー向け、社内向けなど、さまざまな目的で「報告のためのデータづくり」をすることが多いのですが、目的によって知りたいことが少しずつ違います。なので、報告のたびに少しずつ違うまとめ方をしているというか、させられている現状があります。少しずつ違うまとめ方をするのは、時間もかかるしめんどくさいので嫌う人も多く、そこの労力が軽減するとなると喜んでくれるプロマネが多いです。ただ、私としては、プロマネがラクになるが最終ゴールではなく、あくまでも「プロジェクトメンバーがみんな同じ情報を見て、状況を正確に把握し、うまくプロジェクトを進める」ことが目標です。
今野:坂井さんもソリューション化を考えているのですか?
坂井:いいえ。ソリューション化は、考えていません。それよりも社内の適用を増やし、よりよい方法を探っていくことで、当社のエンジニアリング能力の底上げに貢献したいと考えています。なので、今は、ひとつのプロジェクト内をターゲットにしていますが、ゆくゆくは、色々なプロジェクトで蓄積したデータを将来のプロジェクト推進に活かすことも考えています。
今野:蓄積したデータを使うというのは、情報流通の方でも考えているんでしょうか?
林:正直いうと、蓄積されたデータそのものを使って自分たちが何かするというのは、あんまり考えていなかったんですが、どういうトピックがいつ、どのあたりで盛り上がったかを分析すると、色々な施策を打つための参考データになりそうですね。
今野:アンケートや実態調査をして何かをするというのは、よくありますけど、普段の活動データからそれが抽出できたら、効率的に施策を打てそうですね。
人間系はおもしろい
今野:おふたりの話を伺っていると、あんまり技術、技術してませんね?
坂井:はい。技術そのものよりも「技術を人がどういうプロセスで使っていくか」という話だと思っています。たとえば、世の中には、チケット管理システムがたくさんあって、利用しているプロジェクトが多いです。でも、それがあるから、勝手にプロジェクトが進むわけではない。「人があつまって、みんなでどうやって仕事を進めるのか」っていうシンプルだけど難しい問題で、そういうプロセス系の話に、ずっと個人的にも興味があって、もうかれこれ10年以上取り組んでいるわけです。
林:情報流通のほうも、どういう仕組みをつくるかも大事ですけど、プロセス的なところ、人がどうふるまうかというあたりが、とても大きいですね。
坂井:結局、プロジェクトがうまくいくかどうかも、人がどう取り組むかの影響がとても大きいんですよね。プロジェクトに関係する人たちが気持ちよく仕事するにはどうしたらいいかというのを考えると、技術だけではなく人間系の話が多くなります。そうするとIT技術の知識だけでは足りなくて人文系の素養が必要になってくるなと思っています。個人的には、そういう人間系の話がとても面白いと感じているのですが、なかなか、同志に出会えないので、寂しいです。
今野:そうなんですか?意外ですね。人間系に興味のある人、来てくれるといいですね笑
坂井:そうですね。情報系の学生であっても、大規模開発は未経験な場合が多いですし、プロセス系の面白さを知る機会が少ないので、なかなか興味を持ってもらえないのかなと思っています。行動デザインとか社会科学系の素養のある方と一緒に活動できたらいいなと思っています。
林:わかります。情報流通のテーマでも、組織文化であるとか、心理学的なところも考えないといけなくて、もうIT技術だけでは太刀打ちできません。
坂井:ITってInformation Technology(情報技術)なので、人と機械が協調して情報を形にしたり、やり取りするための技術だと思っています。IT技術というと、人と機械、機械と機械がどうやりとりするかというところに注目しがちなのですが、人と人のところも外せない大事な要素だし、面白いところですね。
林:「つながる!ひろがる!見つかる!人と知識」という私たちのキャッチコピーともつながりますね!
今野:なるほど〜。人間系の話が多くなるというのは、意外でした。
さいごに
今野:今回は、おふたりの研究テーマについてお話を伺いましたが、最後に、今後の抱負をお聞かせください。
坂井:自分がつくったものを社内で使ってもらいたいと思っています。そして人間系に興味を持つ人が増えて一緒に活動できたらいいなと思っています。
林:個人の抱負としては、技術力をもっと高めていきたいという気持ちが強いです。また、新しい機能を試してみただけでは実際に利用するときに問題があることが多いので、どういった場面で、どういった人が使ったらよいだろうか?という部分についても考えながら試したいなと思っています。技術分野という意味では、押さえておくべき領域が広いMicrosoft 365やLLM(大規模言語モデル)に注目しています。
今野:ありがとうございました!