都立高校 探究学習 最終報告会

2023-09-27

都立高校

今年度、東京の多摩地区にある都立高校で2年生の探究の授業に協力しています(テーマ説明の様子はこちら )。2023/9/12(火)に最終報告会が開催されました。今回はその報告会の様子をお伝えします。

高校生のみなさんに提示したテーマは以下のふたつです。

  • テーマ①:小学校の先生にK3Tunnelを使ってもらうためにはどうしたらいいか?
  • テーマ②:企業も学校も生徒もうれしいK3Tunnelを使った活動はできないか?

両テーマ共通の条件として、つかえるヒト、モノ、カネは、以下を提示しました。(架空の条件です)

  • ヒト:企業の担当者は数名+ボランティア社員
  • モノ:K3Tunnelをつかうことは必須。他のモノと組み合わせるのは歓迎。
  • カネ:企業の1年間の出費は最大1,000万円まで(人件費除く。出費は少ないほうがいいし、収入があったらもっといい)

5グループのうち3グループがテーマ①を選択し、2グループがテーマ②を選択しました。

最終報告会は1時間目から3時間目を使って実施されました。グループごとに10分間の持ち時間で発表し、5分間のQAタイム、その後、私から追加質問やコメントをさせていただくという形式で進められました。

テーマごとに高校生からの提案の一部を紹介します。

テーマ① 小学校の先生にK3Tunnelを使ってもらうためにはどうしたらいいか?

各グループから出た意見をざっくり分類すると以下のようなアイデアがでました。

K3Tunnelそのものに対して
  • 継続利用しやすいようにする
    • アプリ版を用意する
    • アカウントを作成し学習履歴を残したり、オリジナル課題をつくったりできるようにする
  • 6年間の段階的な教育プログラムを作成する
  • イラストを使って親しみやすくする
先生方に知ってもらうために
  • SNSのインフルエンサーを使う
  • 小学校教員を目指す大学生向けのセミナーなどを実施する
  • 出張授業をきっかけに知ってもらい、その後、先生方に継続して使ってもらう

どのアイデアも、高校生ならではの視点でメリットとデメリットを考察したうえで、デメリットについての対策も考えたり、費用対効果についても言及していたりと、とてもよく考えられたものでした。

たとえば「SNSのインフルエンサーを使う」というアイデアは、ありがちではあるのですが、他の媒体へ広告を出す場合と費用を比較したり、以下のような構造を示した上で提案してくれました。

tankyu 02 01

あらためてこの図を眺めてみると、SNSに限定せず、インフルエンサーは誰かという視点を持つこともできるなと気づかされました。

「アプリ版のほうがよい」という感覚も、スマホネイティブの若い世代ならではだと思います。また、現時点において「K3Tunnelの教材は年に1回程度、授業内のみで使われることを想定している」というのをお伝えしていたにもかかわらず、それを理解した上で「自宅でも楽しめる内容だから継続利用できるようにするべき」という立場をとったグループもあったのがとても印象的でした。

テーマ② 企業も学校も生徒もうれしいK3Tunnelを使った活動はできないか?

こちらのテーマは、視点を少し広げての提案となりました。

こちらは「SDGsの教材とすることで補助金獲得につながるのではないか」という提案です。具体的な補助金制度について調べたりK3Tunnelのミッションの具体的変更内容の検討もしてくれていました。 tankyu 02 02

こちらは「地域活性化につながるようなテーマで授業をつくり、行政、企業、学校にそれぞれメリットがあるようなスキームを組むのがよいのではないか」という提案です。 tankyu 02 03

どちらも、粗削りな内容ではあるものの、目のつけどころとしては、可能性のあるアイデアだと思います。

また全体のスキームに加え

  • 情報系の学生向けにK3Tunnelのコンテンツやアプリケーションをつくるインターンを開催することで、企業は「採用効果という短期的なメリット」も得られるのではないか
  • 小学校のパソコンクラブを対象とした大会を開催することで知名度アップを図れるのではないか

といったアイデアも出してくれました。

おわりに

全体の発表が終わった後、少し振り返りの時間をとったのち、高校生のみなさんに感想を求めたところ、以下のようなコメントをいただきました。

  • 最初は「K3Tunnelってなんだ?」というところから始まり、アイデアを出せるかわからなかったけれど、みんなでアイデアを出してみて、それがやっぱりダメだってなって、またアイデアを出してってやっていくのが楽しかった
  • 企業の活動について考えるのは初めてで、多面的に考えないといけないことがわかった
  • レポートに対してフィードバックをもらい、さらに考えるという経験自体が初めてでよい経験になった
  • 今まで「調べてわかったことを発表する」ことはあったが「アイデアをまとめて提案する」という経験は初めてだった

高校生のみなさんは、今後、さまざまな探究活動を重ねていく予定と聞いています。その中で、今回の授業で得た経験が活かされることを願っています。 私自身も、高校生のみなさんの発表を聞いて、さまざまな可能性を再検討してみようという意欲がわきました。ありがとうございました。

おまけ

いただいたアイデアのうち、特に以下の活動に興味をもってくださったみなさま、ぜひお問合せください。

  • 小学校教員を目指す大学生向けにセミナーなどを実施する
  • 情報系の学生向けにK3Tunnelのコンテンツやアプリケーションをつくる場を提供する
  • 地域活性化につながるようなテーマで授業をつくり、行政、企業、学校にそれぞれメリットがあるようなスキームを組む

今野 奈穂子
K3Tunnelの中のヒト。つくるのが好き。100回以上の出張授業講師を経験。